初めての稲作にチャレンジする皆さん、ゆるっと農業入門をご覧いただきありがとうございます。
稲作について、基礎知識を入れておくことを大切にぜひ進めてください。
テーマ①では「土壌の基本:稲作における土の役割と影響とは」
テーマ②では「稲作向け土壌のタイプと特性」
テーマ③では「稲作向け土壌改良の重要性とポイント」
テーマ④では「稲作土づくり成功の鍵:有機物の重要性」 を学びました。
テーマ⑤
土壌改良材と肥料選び
「土壌改良材や肥料の種類が多くてどれを選べばいいか分からない…」 とにかくまだ肥料の選び方までも分からないことだらけ...。
初心者にとって、種類豊富な土壌改良材・肥料の中から自分の田んぼに合ったものを選ぶのは難しいと感じることでしょう。 大丈夫です。
基礎知識をしっかり身につけておけば、ずっと使えるノウハウとなります。
適当に手探りで稲作を始めるより、基礎知識を入れておくことで無駄な時間やコストは削減できるはずです。
今回のテーマでは、そんな農業未経験の方におすすめの「土壌改良材と肥料選び」の基本的なポイントを解説します。
混同しやすい土壌改良材と肥料の違い
土壌改良材と肥料の役割
初心者の方は、「土壌改良材と肥料の違い」をイマイチわからずに混同してしまうこともあります。
それぞれの主な種類と効果をおさらいします。
- 「土壌改良資材」は土壌自体の状態を改善し、植物が育つ環境を整えます。
- 「肥料」は稲の生育に必要な栄養素を供給し、健康な成長を促進します。
この他に混同しやすいのが「農薬」です。
「農薬」は主に植物を害虫や病気から守るために使用され、直接的な防御を提供します。
今回は「土壌改良材と肥料の違い」について詳しく紹介します。
「土壌改良材」の種類と効果
土壌の物理的・化学的特性を改善し、作物の成長を促進するために使用される材料です。
前回の記事でもお伝えしたように、さまざまな種類の土壌改良材があります。
例えば、堆肥は土に有機物を供給し、微生物の活動を促進します。
緑肥は土壌に栄養を追加し、構造を改善します。
そして、当店おすすめの「綜合ミネラル宝素」は作物に不足しがちなケイ酸・微量要素の補給を助けます。
これらにより、水はけ、保水性、通気性が向上し、栄養素のバランスが良くなります。
「肥料」の種類と効果
肥料は稲の生育に必要な栄養素を供給するために使用するものです。有機肥料と化成肥料の2つがあります。
- 有機(配合)肥料:原料が有機物の自然由来の肥料のことです。 土壌に栄養をゆっくりと提供します。有機肥料には、有機100%の他に化成肥料と有機肥料を配合したもの(有機〇〇%配合)などがあります。
- 化成肥料:科学的な製法で作られた人工的な肥料です。すぐに植物に栄養を与えることができ、特定の栄養素を多く含むものが多いです。窒素、リン酸、カリウムなどが主な成分(参考記事:NPKとは)です。
窒素、リン酸、カリウムなどの栄養素は、稲の健全な成長と豊かな収穫に不可欠です。
これらの土壌改良材や肥料を場面に応じて適切に使い分けることが重要です。
初心者向け土壌改良材の選び方
田んぼに適した土壌改良材とは
前提として、最適な土壌改良材や肥料を選ぶためには、まず、自分の田んぼの土質や栄養状態を把握することが大切です。
土壌分析キットを利用したり、農業試験場などに相談することで、必要な情報を得ることができます。地域の情報を調べてみてください。
もしくは、田んぼの土をご自身の手でチェックしてみることで学ぶこともできます。
稲作を成功させるためには、土壌の状態を把握し、足りない要素を土壌改良材や肥料で補うことが重要です。
お店やオンラインで商品を見て決めるよりも、「土壌の状態に応じた逆引きの商品選定」を強くおすすめします。
初心者向け簡易土壌チェックシート(わからない項目はパスしてもOKです)
- 土壌の硬さ
- □柔らかい
- □やや硬い
- □非常に硬い
- 水はけの良さ
- □水はけが良い
- □水はけが標準
- □水はけが悪い
- 保水性
- □保水性が高い
- □保水性が標準
- □保水性が低い
- 有機物の量
- □有機物が豊富
- □有機物が標準
- □有機物が不足
- 地力(土中の栄養分)
- □地力が高い
- □地力が普通
- □地力が低い
以上のように土壌の様子が把握できたら、土壌改良材を選びます。
ここでは、全ての土壌改良材に触れることは難しいので、一例としてご覧ください。
土壌が硬く水はけが悪い場合
- 堆肥(土壌の膨軟化)
- 川砂(排水性の改善)
土壌の保水性が低い場合
有機物が不足している場合
- 堆肥(有機物供給)
- 緑肥(土壌の肥沃化)
地力が低い場合
- 緑肥(土壌の肥沃化)
- 綜合ミネラル宝素(微量要素の補給)
よくわからない場合
- 綜合ミネラル宝素(すべての土の状態に有効です)
以上のようなポイントをおさえて、土壌改良剤を選定のヒントにしてみてください。
稲作向け土壌改良材の使い方
土壌改良材の使い方のポイント
土壌改良材は、適切な時期と方法で使用することが重要です。
使用量の目安
- 使用量はパッケージの指示に従う。過剰な施用は逆効果になるため、推奨量を守ります
- 複数の土壌改良材を組み合わせて使用する場合は、それぞれの相性を考慮します
施用方法
- 土壌改良材が土全体に均一に行き渡るように散布します
- 深さ10-15cmまで土によく混ざるように耕運します
施用時期
- 堆肥などの多くの有機質資材は、発酵・分解を促進するため、稲刈り後にできるだけ早く、気温の高いうちに施用します
- 元肥と同時散布する場合は、田植えの予定から逆算して1~2週間前に施用します注意点1
注意点
- 硫化水素ガス: 有機物から発生するガスがブクブクと湧いていると稲の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 過剰な施用は避ける: 過剰な施用は、稲の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 使用方法をよく確認する: 土壌改良材によって、使用方法が異なる場合があります。
- 地域によって異なる: 地域によって、推奨される施用時期やタイミングが異なる場合があります。
初心者向け肥料の選び方
肥料の基礎を知ることから
続いて、肥料についても基本は土壌改良剤と同じ流れです。
土壌・作物の状態を把握し、足りない要素を肥料で補うことが重要です。
「土壌・作物の状態に応じた逆引きの商品選定」をおすすめします。
主なチェック項目は以下の例を参考にしてみてください。
肥料選びのチェック項目例
肥料の使用時期
- □育苗: リン酸、ケイ酸を重点的に施し、根張りを促進し丈夫な体にする。
- □元肥: 窒素を重点的に施し、初期生育を促進する。
- □分げつ期: 窒素、リン酸、カリウムをバランス良く施し、分げつを促進する。
- □調節肥: リン酸、カリウム、ケイ酸をバランス良く施し、根張りと生育を促進する。
- □出穂期: 窒素、リン酸、カリウムを適量に施し、大きな穂を作る。
- □登熟期: リン酸、苦土を重点的に施し、登熟を促進する。
栄養素の必要性
- □葉や茎の生育を促進させたい。窒素(N)
- □根の発育を促進させたい。リン(P)
- □茎や葉を丈夫にし、病害虫抵抗性を高めたい。カリウム(K)
地力(土中の栄養分)
- □地力が高い
- □地力が普通
- □地力が低い
保肥力
- □保肥力が高い
- □保肥力が普通
- □保肥力が低い
肥料の種類
- □化成肥料(迅速な栄養供給をしたい)
- □有機肥料(長期的な栄養供給、食味向上を期待したい)
これらを踏まえて商品を選定します。
肥料は、数多くの優れた商品が販売されています。
しかし、土壌や作物の状況、気候、地域特性によって適切な肥料は異なるため、この記事では、断片的な判断で「こういう場合はこれを使いましょう!」と断言することはできません。
肥料選びは、お近くの販売店に相談するのが安心です。
当店でもおすすめ土壌改良材・肥料をご案内しておりますのでご参考にご覧ください。
>>おすすめ商品一覧
なお、肥料選びの一般的な流れを理解しておくことで、販売店との相談もスムーズになります。
以下に、肥料選びの基本的なポイントをまとめましたので、参考にしてください。
稲作における肥料の使い分け
肥料は稲の成長に不可欠な栄養を提供します。
稲の種類
- 食用米: 窒素、リン酸、カリウムをバランス良く施す。
- 酒米: タンパク質含量を抑えるため、窒素を抑え、リン酸を多めに施す。
- モチ米: 窒素を控えめに施し、カリウムを多めに施す。
有機肥料・化成肥料
- 有機肥料: 土壌の生態系を豊かにし、長期的な健康を保ちます。
- 化成肥料: 迅速に栄養を補給し、即効性があります。
これらの肥料を稲の成長段階に応じて適切に使い分けることが重要です。
元肥・追肥・穂肥
それぞれの肥料は、稲の生育ステージや目的に合わせて適切に施すことが重要です。
施肥の適量と注意点
過剰な肥料は土壌を痛めるだけでなく、稲の健康にも悪影響を与えることがあります。
土壌の状態や稲の成長状況を観察し、必要な量を適切に施肥することが肝心です。
まとめ
土壌改良材
- 土壌自体の状態を改善し、植物が育つ環境を整える
- 団粒構造を改善し、通気性や排水性を向上させる
- 有機質肥料を施用する場合は、土壌の微生物を増やす効果もあります
- 選び方:土壌診断などに基づいて、必要な成分のものを選ぶ
肥料
- 稲の生育に必要な栄養素を供給し、健康な成長を促進する
- 窒素、リン酸、カリウムが主要な成分
- 種類:化成肥料、有機質肥料、微生物肥料など
- 選び方:栽培する稲の種類、生育ステージ、土壌状況などを考慮して選ぶ
さてここ近年、農業分野において注目を集める「バイオスティミュラント」という新しい用語も出てきています。
まずは今回のテーマ「土壌改良材・肥料の選び方と使い方」についてしっかりと理解をしていれば問題ないでしょう。
少し難しいテーマとなってきましたが、分からないことは、先輩農家、専門店、そして当店に気兼ねなく相談していくことを忘れないでください。
稲作は経験が重要です。
最初は失敗することもあるかもしれませんが、諦めずに挑戦し続ければ、必ず上達できます。
一緒に頑張りましょう!
初心者にまず必要な知識は、「土壌を正しく知り、正しく管理」です。
ゆっくりと学んでいきましょう。
補足
- 本記事はあくまでも一般的な指針であり、地域や品種、栽培方法によって最適な方法は異なります。専門家への相談や地域の慣習を参考に、臨機応変に対応してください。
- 土壌改良材や肥料は、使用量や使用方法を間違えると反作用を招く恐れがあります。必ず使用方法を遵守し、安全な稲作を心がけてください。
シリーズについて
「年齢不問!稲作で食べていく!農業0~1年生×稲作×土づくりをしっかり学ぶ15本」
このシリーズは、稲作について何から手をつければよいか分からない農業未経験・稲作農業0〜1年生のための基礎ガイドを投稿しています。
なんとなく稲作農業に興味が湧いてきた、異業種から農業に意を決して転身、代々農家の後継ぎを決意、農業無知で稲作農家に嫁ぐ・・・などきっかけは様々でOK。
基本から学ぶ土作りのステップをなるべく楽しく学べて実践へ活かせるように、わかりやすく解説していきます。
稲作初心者の方のお役に立てたら何よりです。
百津屋商店 代表:和田 一男
稲作の教科書に載っていない秘訣を伝授します!
初心者でも安心のスタート
お気軽にお問い合わせください!!