新潟県における作況指数は、農林水産省が10月11日に発表した時点で「やや不良」の98でした。
これは2年連続で「やや不良」となり、猛暑や渇水の影響で全国最低の「95」だった令和5年産米に続く結果でした。
全国的な米不足によって、昨年に比べて大幅に米価が値上がりした中での作況ですので、農家の皆さんは悲喜こもごもです。
育苗 ~高温と徒長苗~
今年は育苗期間となる4月の月平均気温が全国的に高く、ハウスを見てまわると「徒長苗」が多くて、秋の倒伏の一因になりかねないという心配がありました。
ハウス内をいかに高温にさせないかという対策を徹底できたかが明暗を分けました。
例えば、風の通りづらいハウスで、複数の扇風機を使って常に空気が動いている状態を保った農家さんが非常にすばらしい苗に仕上げていました。
また、1.5葉期ころに「(細粒)マグホス」や「(細粒)ミネラル宝素」の追肥を行うことで、有効な根の発根を促進し、硬く丈夫な体つくりを助け、軟弱徒長を抑制します。
田植え ~深植えに注意~
ゴールデンウイークは田植え日和が続き、皆さん順調に田植えを終えられました。
しかし、徒長した苗を植えるという都合上、いつもより「深植え」にする農家さんが多かったかもしれません。
『伸びた苗は抜けやすいのではないか』『あとで手直しするのは面倒だ』という心配によって「深植え」で対策するという考えです。
土の中は深くなるほど温まりにくいので、その後の天気によっては生育が停滞しやすくなります。
田植えは必ず3㎝程度の「浅植え」を心がけましょう。
6月から7月 ~異常な徒長~
田植え後は大きな天候の崩れもなく、順調に生育しました。
6月中旬ころから気温が一気に上がり30℃を超えるような日が続き、前年のようになるのではと心配しました。
しかし、7月に入ると曇りや雨の日が多く、前年の高温・水不足状態に比べて稲にとっては好適でした。
7月中下旬の穂肥診断時に騒いだのが、草丈が80~90㎝と長すぎる状態でした。(品種:コシヒカリ)
よって「穂肥は1回目はパス、もしくは無施用」という圃場が多く出穂後の倒伏が心配な状態でした。
なぜ、こんなに伸びたのかを考えると、6月下旬~7月下旬の日照不足、水分過多、高温推移の3要素が原因かと思われます。
対策として、①溝切りの実行や ②「マグホス」の施肥が有効だったと思われます。
①溝切りをすることで、水を入れるのも落とすのも確実に、そしてすばやく実行できます。
もちろん水のかけひきをしっかり行うための溝切りですので、水管理を怠ってはいけません。
水管理とは水を足すことだけではなく、しっかり落とすということも大切です。
②調節肥として「マグホス」をしっかり施肥することで、根張りの促進と倒伏防止が期待できます。
リン酸、苦土、石灰、ケイ酸や各種微量要素の働きで発根を促し、チッソの消化を助け、節間の伸長を抑制し、健全で葉肉の厚い稲体づくりを促進します。
本年のようになかなか色が褪めず、徒長気味のときには効果絶大です。
1反あたり40㎏を目安に施肥するのが条件です。
【マグホス】 リン酸・苦土で作物を丈夫で美味しく|肥料成分・効果・使い方
8月 ~高夜温による衰弱~
8月は曇天が多く30℃以上の日が続き、特に夜温が25℃以上という「熱帯夜」が続いたため、稲体(特に根)が衰弱しきった圃場が多かったことでしょう。
そんな稲に、出穂後の8月25日の集中豪雨は甚大なダメージを与えました。
これをきっかけに倒伏する圃場が続出しました。
今後はいかにして夜温を下げるかが課題だと思われます。
地温を下げるためには、水を入れれば良いですよね。
しかし、1日中水を入れっぱなしにしていても、日中に熱くなった水が冷えるまでには時間がかかります。
また、熱い水につかりっぱなしでは「根腐れ」の原因にもなります。
夜の地温を下げるには、夕方から夜にかけて水を入れ、朝になったら落水するのが有効です。
昔に比べて気象条件が厳しくなっている昨今、状況に合わせて様々な対策が必要となっています。
適切な対策を知っているのと知らないのでは、結果が大きく違ってきます。
当店は今後も情報発信をするとともに問診や指導を行っていきます。
一緒に「良食味・多収穫」を目指しましょう!
百津屋商店 代表:和田 一男
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