去年に植えつけてから長い冬を越し、”トウ立ち”や”双子玉(分球)”にならないかと心配しながら春を迎えました。
幸い百津屋の畑のタマネギはほとんどが正常な生育状況でした。
気温が上がってきてタマネギの生育後半になるといよいよ玉が太り始めます。
しかし暖かくなってくると害虫や病気も発生しやすくなってきます。
葉が傷んでは光合成も不十分になり玉の肥大にも影響するので、病害虫の発生には気をつけなければいけません。
今回確認した症例を紹介します。
ネギアザミウマ

葉が白く色が抜けてカスリ状になるのは「ネギアザミウマ」による食害の跡です。

成虫の体長は1ミリ程度で、葉の汁を吸います。
多発するとどんどん株全体が白く見えるようになり、最後には枯れてしまいます。
幼虫はもっと小さいので見つけるのは困難ですが、吸汁の跡を見つけたらすぐに薬剤防除をした方がいいです。
今回は有効薬剤として「プレオフロアブル」を散布しました。
ネギアザミウマは体が小さく、葉の裏やヒダの間など薬剤がかかりにくい場所にも潜んでいるので入念に散布するようにしましょう。
また、さなぎの間には薬剤が効かなくなってしまうので難防除害虫になっています。
時期をずらした散布も有効です。
えそ条班病

先に紹介したネギアザミウマが媒介して発生するウイルス性の病害です。
発病するとだんだん色が抜けていくような病斑が発生して、紡錘形の白いえそ条班になります。
進行につれて拡大融合して大きな病斑になり、葉が萎凋して枯れてしまいます。
玉の奇形などには影響しません。
他の病気の病斑ととても似ているため、見分けるのが困難です。
この病気はウイルス性のため、発病後は有効な薬剤が存在しません。
発生させないことが何より大切で、その為にはアザミウマの予防が必要です。
黒斑病

タマネギの葉の表面に黒い病斑が広がり、そこを中心に周りが枯れていく病気です。
黒斑病はカビの一種が原因となって発生する病気で、温度が高く、湿度が高いと発生しやすくなります。
主に梅雨頃に出やすくなりますが、今年は4月頃からすでにその条件を満たした気候が続いていました。
摩擦や虫による傷があるとそこから発生しやすくなるので注意が必要です。
病気の初期症状は淡い褐色の斑点が出てきます。
次第に病斑がはっきりしてきて表面に黒いカビが生え始めます。
病気が進行すると病斑を中心に葉が枯れていき、葉が折れたり全て枯れてしまったりします。
予防手段としては、まず風通しを良くすることです。
カビは湿気がこもった適温状態で発生しやすいですよね。
タマネギの枯れてしまった下葉や古くなった葉を取り除き、なるべく通気性を良くしておくことが有効です。
取り除いた葉は感染源になる可能性があるので近くに投げ捨てたりせずゴミとしてきちんと処理しましょう。
排水性を良くしておくことも忘れないようにしましょう。
また、チッソ過多も黒斑病に限らず様々な病気が出やすくなるので追肥の量にも注意が必要です。
病気の予防として「ダコニール1000」などの殺菌剤の散布も非常に有効です。
同時に殺虫剤も散布することで様々なリスクを回避できるでしょう。
病気が進行してしまった場合は「アミスター」などの治療効果の高い薬剤を使用しましょう。
なにより入念な予防と素早い対応で発病・蔓延を防ぐことが大切です。