気が付けばすでに10月に突入です。
更新が遅れに遅れ、約1か月ぶりの投稿となってしまいました。
稲作農家の皆さん、稲刈りは順調でしたでしょうか?
新潟県下越地域ではコシヒカリなど中生品種までの稲刈りがほぼ終了しています。
雨続きの年では、稲が濡れて作業の中断を余儀なくされたり、土がぬかるんでコンバインが進まずに立ち往生してしまうこともあります。倒伏した稲では発芽してしまったりもしますね。
今年は稲刈り時期の天候に恵まれ、作業面ではスムーズな稲刈りができたようです。
ただ、収穫したコメの収量や等級にはバラつきがあったという話をよく聞きました。。
収量・等級が悪かった原因
なぜ、コメの収量や等級にバラツキが起きてしまったのか?
結果に一番大きな影響を与えたのは「高温障害」だったと思われます。
新潟では8月のお盆頃に異常なほどの高温にみまわれました。
稲にとって変調をきたすには十分な温度だったでしょう。
体力の消耗も激しいのに、肥料や水分が十分に与えられていない。もしくは吸収・消化ができない稲では米を十分に太らせることができません。その結果、収量が低下します。
背白や心白といった「白未熟粒」も高温障害によって多く発生し、等級を落とす原因になってしまいます。
もちろん、例年通りの収量・品質を維持できた方々もいらっしゃいます。
その結果を分けたものは何だったのでしょうか?
成績を伸ばした共通点
共通点として見えてきたのは、
- 窒素成分をしっかりと施肥していた
- 素質の良い苗つくり
- 上手な水管理
- 土つくりを怠っていなかった
などの共通点がありました。
ある意味、良い稲を育てるには当たり前のような項目です。
窒素成分の施肥
その中で今年の条件にうまくハマッていたのは「窒素成分」でしょうか。
コシヒカリの場合、通常の気候の年であれば”倒伏間違いなし!”といえるほどの量の窒素成分を施肥していた田んぼでは、高温の中でも十分な体力で穂を実らせていました。そして最後まで倒伏することがありませんでした。
もちろん、チッソだけではなく「マグホス」のようなリン酸・苦土肥料を同じように施肥しました。
苗つくりの大切さ
稲を工場に見立てた場合、栄養の搬入口が”根”、その搬入通路が”維管束”、栄養の生産現場が”葉”にあたります。
搬入口(根)が少ない、または閉まっていては取り込める材料が少なくなります。
大量に材料を仕入れてもそれを運ぶ道(維管束)が狭くては速やかに生産現場に届けることができません。
生産現場(葉)の性能が低ければ十分な量の製品を出荷できません。
それらすべての性能の素質を決めるのが、「苗つくり」です。
苗つくりの間に培った素質が本田で開花するのです。
水管理の認識
水管理は、時期によって水を張る、または落とす必要があります。
水の張り方も、足し水を繰り返すのと新鮮な水に入れ替えるのとでは意味が変わってきます。
水を落とす時だって、自然落水させたつもりが、ごく浅いヒタヒタ水状態で止まってしまっている田んぼもあります。
また、水を入れる時も落とす時にも「溝切り」をしてあるのとないのとでは効率が大きく違います。
目的とやり方を知ったうえで、必要な作業を怠らずにやることが「水管理」です。
まずは土つくり
兼業農家が増える中、農作業に費やせる時間が少なくなり、常に必要な分だけ肥料を施肥することが困難になっています。
今年のような稲の消耗が多く、追肥が必要な時にもそのタイミングを逃してしまった方もたくさんいらっしゃったことでしょう。
基本的に”施肥設計”というのは、その年の稲作に必要な肥料成分を予想して計算したものです。
まだまだ生きていたい時に、与えられた肥料を消化しきってしまった稲はどうなるでしょう?
そんな時にモノをいうのが「地力」です。例えるなら、毎月の収入とは別の”いざ”という時のための「貯蓄」でしょうか。
地力を高めるということは土の質を向上させるということです。
コスト削減の際、一番に考慮されるのが「土壌改良材」でしょう。土壌改良材の投入をやめてしまうことで地力はどんどん落ちてきます。
地力が落ちることで土中肥料のほか、保肥力や保水力もなくなってきます。
それが収量や品質に悪影響をおよぼし始める、”負のスパイラル”が始まります。
1年、土つくりをサボると、その地力を戻すのに5年かかるといわれています。
その年に投入した分がすぐに地力として活躍できないのが土壌改良材の悩ましい所です。だからこそ、毎年続けることが大切になってきます。
稲刈りが終わったあとは、達成感と疲労感が同時にやってくることでしょう。
ですがそこでもう一仕事、来年の為に今からできることがあります。
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