秋にできる作業をいくつか紹介します。気候条件や土地の条件を考慮して、自分が出来る作業を見つけてみてください。
秋起こし
秋起こしは秋のうちに耕運をすることで有機物の腐熟を促進し、下記のようなリスクを軽減して春先の作業の効率・効果を向上させることができます。
- 窒素飢餓
- ガス害(ワキ)
稲刈りの時にコンバインから排出される稲わらや刈り取り後の株は、翌年の春までそのままの状態で放置していてもなかなか腐熟は進みません。
未完熟の稲わらは代かきの時に浮かんできたり、微生物が分解するときに窒素を急激に消費することで起こる”窒素飢餓”状態におちいる危険性があります。また、田植後くらいに発生するガス害(ワキ)の原因になります。
有機物の分解をする主役は「微生物」です。
微生物の動きが活性化することで団粒構造化が進み、通気性、通水性、保水性が増し、さらに微生物の動きが活性化するという良いスパイラルが生まれることになります。
低温のなかでは微生物の活動が非常に鈍ります。
ですのでなるべく早く平均気温が15℃以上あるうち、天気が良くほ場が乾いた時に作業を始めましょう。
耕運の直前に「豊土サングリーン」を散布しておくことで、稲わらの腐熟が促進されます。
耕運の深さは15㎝程度、有機物が土の中に混ざるようにすれば大丈夫です。
耕運をすることで水が入りやすくなり、土が乾きにくい圃場では春の作業がしづらくなる可能性があります。そういった圃場では溝切りで排水性を高めておくと良いでしょう。
土壌改良剤の投入
田植え前に散布する元肥(主にチッソ、リン酸、カリ)は稲を育てるための肥料で、施肥時期が早すぎると成分が失われて稲が欲しいタイミングには無くなってしまう可能性があります。
一方、土壌改良材は土を育てるための資材ですから秋のうちに投入できます。
堆肥などの有機物系資材は
- 科学的(肥料分、pHなど)
- 物理的(硬さ、水はけ、保肥力など)
- 生物的(微生物の量など)
あらゆる面で地力の向上につながります。
ケイ酸系資材の投入も稲作にはかかせません。
稲はほかの植物に比べて生育に多くのケイ酸を必要とします。稲わらから還元されるケイ酸だけではどんどん土中のケイ酸成分が不足していきます。ですので足りない分はケイ酸資材で補ってあげなければいけません。
「綜合ミネラル宝素」はケイ酸を主体(60%)とした各種微量要素を含む資材で、流亡もなくいつでも投入することが出来ます。
秋のうちに投入することで春の作業負担を軽減することもできます。
除草剤の散布
稲作の半分は雑草との戦いといっても過言ではありません。
稲刈り後に再生した雑草や種を枯らすことで翌年の雑草の発生を軽減することができます。
使うのは稲作中に散布する水稲用除草剤ではなく、ラウンドアップやプリグロックス、カソロンなどの陸上で使う一般的な除草剤です。(水田圃場での使用適用をご確認ください)
カソロンは粒状の除草剤で、6.7%、4.5%、2.5%の成分量の展開があります。
カソロンの良いところは、草を枯らした後、土の表面に処理層を作り、土中の種の発芽を抑制してくれることです。
2.5%は散布量が多く手間がかかります。
おすすめは「カソロン4.5%」です。
【%にご注意ください】カソロン6.7%は残効の問題から使用することが出来ません。
カソロン4.5%はAmazonでも購入できるようです。ご参考にされてください。
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使用上の注意は
- 土の中にすき込まないこと(秋起こしをする場合は、耕運後に散布する)
- ムラなく均一に散布する
- 11月中旬ころまでに済ませる
厚く固まったワラがあると十分な効果を発揮できない恐れがあるので、そういった箇所はワラを除去してから散布すると良いでしょう。
地ならし・溝切り
土がデコボコして高低差が激しいと様々な影響があります。
稲作中に水を張る時、水位を低い方に合わせると高い方が露出します。逆に高い方に合わせると低い方の稲が水没します。
また、水位が減ってくると高い方の土が先に露出します。これによって除草剤の効果も薄まってしまいます。
水面に浮いたゴミや雑草の種も高いところに寄ってしまいます。
中干しなど、落水して田面を乾かしたい時には低い方に水が溜まってしまいます。
以上のような問題を起こさないためにも、稲刈り後に高いところの土を低い方に運んでなるべく水平になるように地ならしをしておきましょう。
また、溝切りをしておくことで排水性を高め、春先になかなか土が乾かなくて作業がしづらいという心配をなくすことができます。新潟などの降雪地帯では特に有効です。
翌年の稲作をより良いものにできるよう、以上のような作業を秋にしておきましょう!
百津屋商店 代表:和田 一男
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