初めての稲作にチャレンジする皆さん、ゆるっと農業入門をご覧いただきありがとうございます。
季節も春を迎え始め、田植えまでカウントダウン。
「苗半作」ということで、今が一番大事!
ぜひ何度も予習・復習して理解を深めて稲作を楽しみましょう。
そして前回は「田植え前の温度・水・肥料管理」を学びました。
テーマ14
田植え前の田んぼの準備
この大切な時期に正しく取り組むことで、稲は健康に生長し、豊かな収穫へとつながります。
田植え前の重要なステップである「畦塗り」「元肥散布」「耕運」「代かき」について、初心者にも分かりやすく説明します。
失敗を恐れずに田んぼの準備に取り組みましょう。
田植え準備の重要性|畦塗り・元肥散布・耕運・代かき
「なぜやるのか?」
田植えは稲作の代表的なイベントですが、田植えを行う前には、田んぼの土壌環境を整えるためのいくつかの重要な作業があります。
田植え前に適切な準備をすることで、稲の生育を促進し、美味しいお米を収穫することができます。
田んぼの準備には、大きく分けて4つの作業があります。
それぞれの重要性を理解して作業を進めましょう。
畦塗り(畔塗り)
畦は、ただ歩くために土を盛り上げた通路ではありません。
畦塗り(あぜぬり)は、田んぼの水を適切に管理するために必要な作業です。
畦が不安定だと、田んぼの水もれなどにより、水不足の原因となります。
水の適切な管理は稲作にとって非常に重要です。
目的:
- 田んぼの水漏れを防ぎ、水を溜める
- 肥料や農薬、土壌流亡を防ぐ
元肥散布
元肥は、稲の生長に必要な栄養を提供するために使用される肥料です。
田植えの前に施肥することで、苗が植えられた時に直ちに栄養を吸収できる状態にします。
特に、苗の根付きを良くし、初期成長を促進するために重要です。
稲の初期生育が悪いと、後の成長にも影響が出ます。
目的:
- 稲の生育に必要な栄養を与える
- 土壌の肥沃度を向上させる
耕運
耕運は、土の塊を細かく砕く作業です。
田んぼを耕運しないと、このあとの代かきがうまくできません。
耕運により、土壌の通気性と保水性が向上し、苗の根の生長が促進されます。
また、雑草の根を切断し雑草の繁殖を抑制する効果もあります。
田んぼの土の物理的条件を改善し、稲が健康に生長するための環境を整えるために重要です。
目的:
- 土を細かく砕き、代かきをしやすい状態にする
- 水はけと保水性のバランスを調整する
代かき(しろかき)
代かきは、田んぼの土に水分を含ませ、機械でかき混ぜて泥状にする作業です。
これにより、田んぼの表面が均平になると同時に、田植え時に苗が抜けにくくなります。
また、百津屋式の代かきをすることで、雑草の種を土中に練り込み、発生を抑制することが出来ます。
目的:
- 田植えに最適な平らな田んぼを作る
- 水漏れを防ぎ、効率的な水管理が可能になる
- 田植え時に苗が抜けにくくなる
- 雑草の発生を抑制できる
これらの準備をしっかりと行うことで、稲作を成功に導き、豊作を期待することができます。
まずはそれぞれの目的や重要性をご理解できましたでしょうか?
続いて、それぞれの工程を初心者に気をつけてもらいたいポイント別にご紹介します。
「畦塗り」やり方・よくある失敗と注意点・コツ
具体的な方法
- 畦塗り機を使って土を盛り上げ、畦の高さや幅を均一に整え、強度を確保します。
高さ約30cm以上、幅約50cm程度を目安に。 - 畦の表面は滑らかに、しっかりと固める
よくある失敗と注意点
失敗例:
畦が低すぎる→水が溜められず、水管理や薬剤散布に支障をきたす
畦が固まっていない→崩れやすく、水漏れもしやすい
注意点:
適切な高さで、しっかりと固める:高さ約30cm以上、幅約50cm程度
畦の表面を滑らかにする
コツ:
- 畦の高さと幅を均一に保つこと
- 土をしっかりと固め、強度を確保すること
- 雨上がりのタイミングで行うと、土が固まりやすい
「元肥散布」やり方・よくある失敗と注意点・コツ
具体的な方法
- 散布する肥料の種類を選定し、田植えの約1~2週間前に施肥します。
- 稲作用の化成肥料や有機肥料
- 肥料散布機を使って均一に散布し、土に混ぜ込むことが重要です。
よくある失敗と注意点
- 失敗例:
肥料の偏り→不均一な生長を引き起こします。
肥料過多→出来すぎで過繁茂や徒長の原因となり、病害や倒伏の危険性が高まります。
肥料不足→苗の生育不良、収穫量の減少 - 注意点:
土壌の状態と作物の要求に合わせた肥料の種類と量を選ぶことが重要です。
コツ
- 稲の品種特性に合わせた肥料や施肥量を、先輩農家や専門家に相談して選びましょう
- 散布機を使用して肥料を均一に散布すること。
- 土壌検査を行い、必要な肥料成分を把握すること。
百津屋商店おすすめ元肥
- コーボしき島9号: 有機複合の良質な配合肥料
- タキポリン3号: 硬質で側条施肥にもってこいの配合肥料
- マグホス: 効くリン酸による根張り・初期生育の促進
- プロボカシ: 有機100%のボカシ肥料で長期効果。肥料切れを防ぐ
- 綜合ミネラル宝素: 豊富なケイ酸と微量要素で丈夫な体つくりと根張りをサポート
こちらの商品については、お気軽に当店へお問合せください。
「耕運」やり方・よくある失敗と注意点・コツ
具体的な方法
- 春の温かくなってきた時期にトラクターを使用して田んぼの土を耕します。
- 土を耕し、細かく砕きます。
よくある失敗と注意点
- 失敗例:
耕運の深さが不均一→根の伸長が妨げられます。
耕運不足→土が固く、苗の根付きが悪くなります。 - 注意点:
土が乾くのを待ってから作業を行いましょう。
過湿状態での作業は土壌構造を破壊しやすいです。
土壌の種類に応じて適切な耕運の深さを選ぶことが大切です。
コツ
- 土壌が適度に乾いている状態で作業を行うこと。
- トラクターの設定を適切に調整し、ゆっくり均一に耕運を行うこと。
- 適切な深さで耕す:約20cm程度を目安にしてください。
「代かき」やり方・よくある失敗と注意点・コツ
具体的な方法
- 土にしっかりと水を吸わせて、代かき直前に落水し、水が見えなくなる程度(完全落水)になったら代かきします。
- 表面のみ(3~4㎝)を代かき層に仕上げるのを目指します。
よくある失敗と注意点
- 失敗例:
水の張り過ぎ→雑草の種が浮き、土の表面に落ちることですぐに雑草が発生します。
代かき不足→田植え時に苗が抜けやすくなります。
代かき過ぎ→代かき層が深くなりすぎ、初期生育の停滞の原因になります。 - 注意点:
代かきの際は、田んぼの水深を適切に管理することが重要です。
代かきのやりすぎは田植え後の生育に大きく影響するので注意しましょう。
コツ
- 代かきはドライブハローを使用し、最低速で進行する一発代かきをしましょう。
- 田んぼの隅々まで均等に作業を行い、田植えに最適な平らな田んぼを作ります。
- 田植え時の理想の土の固さは、足がくるぶしまで入り、足跡が水を張った後まで残るという固さです。
例えるなら「表面のみがねっとりとしたヨウカン状、下はゴロゴロ状態」です。
参考:代かきの方法についてはこちらの記事でもご案内しています。
ただし、以上のステップは地域によって、気候や土壌、栽培方法などが異なるため、地域性も考慮することが重要です。
初心者のうちは必ず地域の先輩農家、農業指導機関などに確認するようにしましょう。
新潟県の方でしたら、お気軽に当店へご相談ください。
まとめ
田植え前の準備作業である畦ぬり、元肥散布、耕運、代かきの各工程の意義をしっかりと把握いただけたかと思います。
稲作初心者が田植えに向けて行うべき準備作業は、稲の健康な成長と豊かな収穫を左右します。
- 畦ぬり:水漏れを防ぎ、苗を守る基盤を築く
- 元肥散布:稲の成長を支える栄養補給
- 耕運:土を細かく砕き、土壌の状態を整え、水はけと保水性を調整する
- 代かき:田植えに最適な田んぼを作る
これらの基本作業を正しく行うことで、稲作を成功に導くことができます。
さあ、いよいよ稲作のシーズンが近づいてきました。
これらの知識を活かし、準備段階から質の高い稲作を心掛けて田植えの成功へ進んでいただきたいと思います。
細部にまで気を配ることが、最終的に大きな差となって現れるのが農業の世界です。
満を持して田植えに臨みましょう。
補足
上記の対策はあくまでも目安であり、状況によって効果は異なります。 地域の農業指導機関や農協などに相談し、地域の気候や栽培状況に合わせたアドバイスを受けることが重要です。専門家への相談や地域の慣習を参考に、臨機応変に対応してください。
田植え前の準備については、現場の実例を掲載した記事が複数あります。
以下の記事もぜひご確認ください。
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シリーズについて
「年齢不問!稲作で食べていく!農業0~1年生×稲作×土づくりをしっかり学ぶ15本」
このシリーズは、稲作について何から手をつければよいか分からない農業未経験・稲作農業0〜1年生のための基礎ガイドを投稿しています。
なんとなく稲作農業に興味が湧いてきた、異業種から農業に意を決して転身、代々農家の後継ぎを決意、農業無知で稲作農家に嫁ぐ・・・などきっかけは様々でOK。
基本から学ぶ土作りのステップをなるべく楽しく学べて実践へ活かせるように、わかりやすく解説していきます。
稲作初心者の方のお役に立てたら何よりです。
百津屋商店 代表:和田 一男
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