もうじき田植えのシーズンですね。
以前にお客様よりこんな声がありました。
「うちの稲だけ生育が遅い!」
どうやら隣の家と、
同じ苗を使い、同じ肥料を使い、同じ日にまいて、同じ日に代かきをして同じ日に植えている
なのに生育が遅いと感じられていました。
よく話を聞いたところ、代かきのやり方に問題が見つかりました。
次の年にはあらためて、代かきのやり方をご指導させていただいたところ、順調な生育になったそうです。
今回はその「代かき」の目的や、やり方のコツについてお話ししようと思います。

百津屋商店 代表:和田 一男
教科書に載っていないようなコツでサポートいたします!
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代かきの目的は?
まずは、そもそも代かきの「目的」ってなんでしょうか?
ざっくり言ってしまえば
田んぼの整地
です。もう少し詳しく説明しますと
- 土の塊を細かくする
- 田面を均平にする
- 表面を柔らかくする
- 漏水を防ぐ
- 肥料と土を混和する
- ワラや雑草、その種を土中に練り込む
- 土中の有害なガスを抜く
おおよそ以上のような目的で代かきを行います。
上手な代かきを行うことで、欠株や浮き苗を減らし、活着やその後の生育を促進できます。
代かきのやり方
はじめに
田んぼの条件や土質によって代かきのやり方や回数が変わってくると思いますので、今回は標準的な土質の前提で進めていきます。
また、ドライブハローを使用することとします。
理想の状態は?
出来上がりとして、表面のみ(3~4㎝)を代かき層に仕上げるのを目指します。
その下の団粒構造を壊さないようにすることが大切です。
水はどれくらい入れる?
水加減ですが、ヒタヒタ程度、水を落としたばかり位が良いです。
なみなみと水を張って代かきを行うと、草や種がまい上がってしまって表土に着地・発芽してきます。
ちゃんと土の中に練り込んでおけば除草剤の回数が節約できます!
固さも気にしよう
また水加減は床の固さに影響してきます。
せっかく良い苗を作り、当然生きるはずのものが田植の時の植え付け姿勢の悪さで死んでいる例があります。
浮き苗はもちろん、苗が傾斜して植えられると、第一葉節冠根は都合よくでてきません。この姿勢を左右するのが土の固さです。
理想の土の固さは、田植の時に足がくるぶしまで入り、足跡が水を張った後まで残るという固さです。
例えるなら、「ねっとりとしたヨウカン状」です。
土質によって代かきした後、ちょうど良い固さになるまでの日数が違いますので、育苗日数と植え床の状態を合わせる必要があります。
[百津屋式] 代かきのコツ
この状態を作るのにおすすめの方法は、、、
進行を最低速にしての一発代かき
です。
最低速は眠くなるほどゆっくりです。作付けが多い方は特に気持ちが焦るでしょう。
ですが、急がば回れ。
ここをしっかりやっておくことによって後の管理がとっても楽になります。
高速で作業をしてしまうと土の状態が不均一になってしまいます。
また何度も繰り返すと今度は代かき層が深くなりすぎてしまいます。
代かき層が深すぎますと、酸欠状態になり、田植後の新根が出てきません。
はじめのお客様の場合、水持ちを気にして代かきをやりすぎたために、植わった苗の新根が出る層が酸欠状態になっていたのが原因で活着が遅れていたようです。
順調に苗を活着させるための「表面のみがねっとりとしたヨウカン状、下はゴロゴロ状態」をつくりましょう。
土質によって代かきした後、ちょうど良い固さになるまでの日数が違いますので、育苗日数と植え床の状態を合わせる必要があります。
まとめ
代かきのやり方ひとつで生育にけっこうな差が生まれることもあります。
スムーズな活着ができればその分すばやく元肥を吸収できますし、充実した分けつを確保しやすくなります。
▼百津屋商店おすすめの元肥はこちら
あなたの田んぼのクセは誰よりもあなた自身がわかっているはずです。
代かきの深さや速度、またその水加減を調節するには、まず自分の田んぼの土を知ることが重要です。
ここまでお話したことを踏まえて自分の田んぼを理想の状態に仕上げていってください。
代かきが終わるといよいよ田植えの準備ですね、苗つくりやなど稲作に関する過去の記事をまとめました。
よろしかったらこちらからもご参考にしてください。
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最後に
おおまかな説明をしてきましたが、さらに詳しい話や側条施肥など、より個別な相談もお待ちしております。
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