「バイオスティミュラント」の意味 - 有限会社 百津屋商店

「バイオスティミュラント」の意味

バイオスティミュラントとは

近年、農業分野において注目を集める「バイオスティミュラント」という用語とは
「bio」=「生物,植物」と「stimulant」=「刺激剤」を組み合わせた造語で、
直訳すると「生物(植物)刺激剤」です。

バイオスティミュラントとは、植物の成長を自然に促進するために使用される物質や微生物の総称です。

1. バイオスティミュラントの役割

バイオスティミュラントは、根の成長促進、光合成の効率化、ストレス耐性の向上など、植物の健康と生産性を自然に高める役割を担います。
肥料のように直接栄養素を与えるわけではなく、植物自身の生命活動を促進させることで、様々なメリットをもたらします。

2. バイオスティミュラントの種類

バイオスティミュラントには、海藻エキス、微生物製剤、アミノ酸、ハーブエキスなど、多様な種類が存在します。
これらはそれぞれ異なるメカニズムで植物の成長をサポートします。

3. バイオスティミュラントが作物へもたらす効果

バイオスティミュラントは、以下のような働きが期待できます。

  • 耐ストレス性向上: 環境ストレス(高温、低温、乾燥、塩害など)に対する耐性を高め、安定した生育を促します。
  • 根系発達促進: 健全で広範囲に広がる根系を形成することで、水や栄養素の吸収効率を高め、植物の活力を向上させます。
  • 光合成活性化: 葉緑素の生成を促進し、光合成効率を上昇させ、生産性を向上させます。
  • 栄養素利用効率化: 植物が肥料などの栄養素をより効率的に吸収・利用できるようにサポートします。
  • 果実品質向上: 糖度、色ツヤ、果実肥大などの品質向上に寄与します。
  • 収穫後保存性の向上: 貯蔵寿命を延ばし、鮮度を維持します。

4. バイオスティミュラントの活用例

  • フミン酸やフミン酸由来物質: 土壌改良効果が高く、微生物の活動を促し、植物の生育環境を改善します。
  • アミノ酸や海藻抽出物: 植物の生理機能を活性化し、光合成や栄養素吸収を促進します。
  • 微生物製剤: 土壌微生物群を豊かにし、病害虫や雑草発生を抑制する抗菌性物質を産生します。

バイオスティミュラントは、まだ新興分野ではあるものの、その可能性は計り知れず、世界中の研究機関や企業が、次々と新しい製品開発にしのぎを削っています。
今後、バイオスティミュラントの技術革新と普及が進むことで、より安定した農産物生産と、健全な地球環境の両立が実現される日も遠くないと期待されます。


<参考>

・日本の法的な面からバイオスティミュラントについて説明すると、農薬は「農薬取締法」,肥料は「肥料取締法」、土壌改良資材は「地力増進法」で規定されているが、現状ではバイオスティミュラントは既存のいずれの法律にも該当しない。1

・バイオスティミュラント(以下、BS)は日本語に直訳すると「生物刺激剤」である。近年、ヨーロッパを中心に世界中で注目を浴びている新しい農業資材カテゴリーだ。BSは、植物や土壌により良い生理状態をもたらす様々な物質や微生物である。これらの資材は植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することにより、植物の健全さ、ストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態及び貯蔵などについて、植物に良好な影響を与えるものである。2

  1. バイオスティミュラントはどのように植物保護に貢献できるか? ↩︎
  2. バイオスティミュラントの定義と意義(日本バイオスティミュラント協会) ↩︎

  • 【稲作】令和6年の稲作を振り返る
  • 【畑作】畑の害虫の防除
  • 【マグホス】 リン酸・苦土で作物を丈夫で美味しく|肥料成分・効果・使い方
  • 「そうか病」の意味
  • 【稲作】7月の田んぼの管理について
  • 「フミン酸(ふみんさん)」の意味

  • 更新日:

    Copyright© 有限会社 百津屋商店 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.