高温による稲への影響
気象による異常高温や台風によるフェーン現象が稲に与える影響はとても大きいです。
稲体から水分が急激に蒸散してしまい、根からの吸水が追い付かずに”脱水状態”になってしまいます。
その結果、変色米などが発生します。
また出穂直後にフェーン風に吹かれると、籾が実らずに枯れてしまう「白穂」になってしまいます。
フェーン現象とは?
フェーン現象とは、「山を越えて吹く風が、山を越えるまでに水分を失って、乾燥した高温の風になって反対側へ吹き降ろす現象」のことを言います。
山をのぼっている時の風(空気)には水分があります。
高くのぼって行くうちに空気中の水蒸気は冷えて水になり、霧や雲になります。
山を境に風上と風下とでは空気の”湿度”が大きく変わるわけです。
この”湿度の違い”によって上昇するときよりも下降するときの方が温度の変動幅が大きくなります。
そうして風下にあたる山のふもとでは「乾いた高温の風」が吹き降ろしてくるのです。
追記:8月14日には上越市高田で40.0℃となり、現在のところ2019年の全国高温ランキング1位となりました。燕市、長岡市、新潟市でも38℃を越える日が続くなど、近年でも稀な暑さがフェーン現象によってもたらされています。まだまだこの状態は続く可能性があり、稲作りでも早急に高温対策をとる必要があります。
水稲の高温対策
フェーン現象に限らず、異常高温が何日間も続くことがあります。
植物の中では比較的丈夫な稲ですが、高温のなかでは体力を消耗していきます。
きめ細かい水管理で地温を下げるように心掛けましょう。
たっぷりと水を張り、2~3日で水の入れ替えをします。
大ヒビが入るほどの強い乾燥や長期間の湛水状態は避けましょう。
フェーン現象や強風時には、降雨のあるなしにかかわらず終日深水管理にして、それらがおさまったら直ちに落水してください。
米の品質を上げるワンポイント
稲は日中に太陽の光で光合成をして栄養をつくり、それを夜に穂や根へ送り込んでいきます。
しかし夜の温度が高すぎると、稲の呼吸が盛んになって、せっかくためた栄養をたくさん消費してしまいます。
その結果、登熟歩合の低下や乳白米(白未熟粒)の発生の原因となってしまいます。
熱帯夜が続くとどんどんバテてくる我々といっしょですね。
スムーズな栄養の転用を助けるためにも、夜温を下げてあげることが米の品質を上げるポイントとなるわけです。
そのために、夜から早朝にかけて水を入れてあげるのが最良の対策となります。
人間だけでなく、稲にも過ごしやすい夜を与えてあげましょう。