初めての稲作にチャレンジする皆さん、ゆるっと農業入門をご覧いただきありがとうございます。
何から手をつければよいか分からない農業未経験・稲作農業0〜1年生のための基礎ガイドはスタートを切ったばかりです。
前回テーマ①では「土壌の基本:稲作における土の役割と影響とは」を学びました。
>「01_稲作における土の役割と影響とは」復習はこちら
土壌とは稲作の基盤でしたね。
土壌の状態は稲の成長や収穫量に直接影響を及ぼします。
テーマ②
稲作向け土壌のタイプと特性を知る
わたしたち日本人の食卓に欠かすことのできない米。
その健やかな成長を支える土壌は、稲作にとってまさに命の源です。
しかし、一口に「稲作向け土壌」といっても、そのタイプや特性は多種多様。
田んぼの土壌は、その種類によって保水性、通気性、栄養素の保持能力などが異なります。
適切な環境を理解し、自らの田んぼに合った土づくりを行うことが、豊作への第一歩となります。
本記事では、主要な土壌のタイプとその特性、さらに理想的な土壌条件について解説します。
あなたの田んぼを最高の稲作環境へと導くヒントをぜひ見つけてください。
土壌のタイプ・種類とは
土壌のタイプ・種類とは
砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土
稲作は、水田で稲を栽培する農業です。
水田の土壌は、稲の生育に大きな影響を与えるため、その種類と特性を理解することが大切です。
土壌の種類は大きく5つに分類できます。
見分け方は、
・粒子の細かさと滑らかさ
・水の浸透、保持、排水
を触ってチェックしてみてください。
砂土(さど)
状態 | 粒子が大きく、砂のような感触があります。こねてもまとまらない程サラサラしています。水はけが良く、排水性が高いため乾燥しやすいのが特徴です。 |
稲作への影響 | 水はけが良すぎるため、栄養素が洗い流されやすく保持しにくいため、稲の成長にはあまり適していません。定期的な灌漑が必要です。 |
砂壌土(さじょうど)
状態 | 砂と壌土の中間の土性です。ザラザラとした砂の感触とつるつるとした粘土の感触が少しある。砂質であるが砂そのものではなく、やや乾きやすい土です。1 |
稲作への影響 | 砂土同様に、水はけが良すぎるため、栄養素が洗い流されやすく、稲の成長にはあまり適していません。 |
壌土(じょうど)
状態 | 粒子が小さく、土のような感触もややあります。水はけが良く、排水性が高いです。しかし、雨が多い場合は水はけが悪くなる可能性があります。 |
稲作への影響 | 水はけと水保持のバランスがやや整っており、栄養素も豊富なため、稲作に適した土壌の一つです。 |
埴壌土(しょくじょうど)
状態 | 粘土と壌土の中間的な性質を持ち、水分と栄養分をよく保持します。埴壌土は粒子が細かく滑らかな感触で、土を手で握ると手にくっつきますが、粘土ほどの粘性はありません。 |
稲作への影響 | 水はけと水保持のバランスが良く、栄養素も豊富なため、稲作に最も適した土壌としておすすめです。有機物が豊富に蓄積した土壌です。 |
埴土(しょくど)
状態 | 非常に細かい粒子で構成され、水を大量に保持します。粘りもあり、こねて丸めることが可能です。 |
稲作への影響 | 水持ちが良く、保水力も高いですが、通気性が悪く、根腐れの可能性が高くなります。 |
ずばり、百津屋が稲作用におすすめする土壌は「埴壌土」です。
なぜ埴壌土をおすすめするのか
なぜ埴壌土をおすすめするのか
埴壌土は、粘土質と砂質の特性を併せ持つバランスの取れた性質により、稲作初心者にとって扱いやすい土壌です。
水管理や栄養管理が比較的容易で、稲の健全な成長をサポートします。
また、初心者が直面しやすい問題(例えば、水はけの悪さや根腐れ)をサポートしてくれます。
埴壌土のメリット
- バランスの取れた土壌構造: 埴壌土は、粘土質と砂質の特性を適切に兼ね備えているため、水はけと保水性のバランスが取れています。
粘土質なので田植え時の乱れが少なく、根の定着に良好です。 - 根の成長に適した環境: 土壌が柔らかく、適度な密度を持つ埴壌土は、稲の根が土中に深く伸びやすい環境を提供します。
これにより、稲の根系が健全に発達し、作物の成長を促進します。 - 栄養素の保持能力: 水分や肥料を蓄える力があるため、有機物や栄養素を適切に保持し、作物に必要な養分を供給します。
埴壌土の見分け方
埴壌土は粒子が細かく滑らかな感触で、土を手で握ると手にくっつきますが、
完全に粘土で固まるほどでなく、砂質土壌をある程度含んだ、耕しやすく水はけのよいタイプです。
粘りがありつるつるとした感じと同時に、ザラザラとした砂の感触が少しあります。1
以下の方法は、見分けるヒントとなります。ぜひお試しください。
- 土を水に浸すと、ある程度の粘り気がある
- 土を握り締めたときに形が崩れにくく、土をマッチ棒くらいの太さの棒状に形作ることができる
- 水を注いだ場合、適度な速さで浸透し、水たまりができにくい
- 土を乾燥させると、表面にひび割れができる
稲作向けの土壌へ
稲作向けの土壌へ
「埴壌土」にするための土壌改良方法
どのような土壌が稲作に向いているのか理解できましたでしょうか。
ご自身の田んぼの土が「埴壌土」ではなかった場合でも諦めることはありません。
土壌改良で埴壌土を目指しましょう。
「埴壌土」にするための土壌改良の例
- 物理的な改良:元が粘土質の土壌には砂や有機物を加えることで、
砂質の土壌には粘土や有機物を加えることで、土壌の質を改善を目指すことが可能です。 - 有機物の投入:堆肥や稲わらなどの有機物を定期的に添加することで、土壌の肥沃度を高め、微生物活動を促進します。これにより、土壌の健康が維持され、作物の生産性が向上します。
- 土壌改良資材の投入:微量要素やケイ酸資材などの土壌改良資材を投入することで、稲作で不足しがちな栄養素を補給することができ、土壌の肥沃度が向上します。
- 適切な耕起: 土壌を耕起することで土がこなれてフカフカになりやすくなります。
以上のような土壌改良を続けることで土壌の団粒構造が改善され、通気性や排水性が向上します。
これにより、水分と栄養素のバランスが良い土壌環境を作り出すことができます。
土壌改良方法は無数にあります。
埴壌土は、稲作に適した土壌と言えますが、決して楽に作れる土壌ではありません。
まずは目指す土壌(=埴壌土)を理解し、
自分の土壌の状態を把握することが大切です。
有機物や土壌改良資材の投入、適切な管理を心がけて理想的な埴壌土を作り上げて行きましょう。
その努力が実を結び、豊かな米の収穫を収めるときの喜びは大きなものとなるでしょう。
まとめ
埴壌土は、その優れた保水性、通気性、栄養素の保持能力により、稲作初心者にとって非常に扱いやすく、作物の健全な成長をサポートする土壌です。
埴壌土を目指すためには、以下の方法があります。
- 堆肥の施用や、稲わらのすき込みをして、土壌の有機物含有量を高めましょう
- 不足しがちな栄養素は土壌改良資材で補いましょう
- 適切な耕起をして、土壌を柔らかくしましょう
適切な管理と改良により、理想的な埴壌土を作り上げ、豊かな稲作を目指しましょう!
稲作に関する他のご質問や、土壌改良についての詳細なアドバイスが必要であれば、いつでもお気軽にお尋ねください。
ゆっくりと学んでいきましょう。
シリーズについて
「年齢不問!稲作で食べていく!農業0~1年生×稲作×土づくりをしっかり学ぶ15本」
このシリーズは、稲作について何から手をつければよいか分からない農業未経験・稲作農業0〜1年生のための基礎ガイドを投稿しています。
なんとなく稲作農業に興味が湧いてきた、異業種から農業に意を決して転身、代々農家の後継ぎを決意、農業無知で稲作農家に嫁ぐ・・・などきっかけは様々でOK。
基本から学ぶ土作りのステップをなるべく楽しく学べて実践へ活かせるように、わかりやすく解説していきます。
稲作初心者の方のお役に立てたら何よりです。
百津屋商店 代表:和田 一男
稲作の教科書に載っていない秘訣を伝授します!
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