実のなり疲れとは、徐々に生育力が弱まり健康状態が悪化する状態
「実のなり疲れ」とは、作物が連続して実をつけることにより、徐々にその生育力が弱まり、健康状態が悪化する状態を指します。
作物は実をつけるために多くのエネルギーと栄養素を必要とします。連続して多くの実をつけると、その植物は必要な栄養を消耗し尽くしてしまい、十分に回復する時間を持てないため、徐々に弱ってしまうのです。
その年に実が多く着いた作物は疲れてしまい、水や肥料を吸収する根が弱っています。 これは特に果物や野菜などの一年生または多年生の植物で見られる現象です。1シーズンに多くの実をつける作物は、翌年の生産量や品質が落ちることがあります。
実のなり疲れの原因
主な原因は、過度な収穫や栄養不足です。例えば、果物や野菜などを多く収穫する農法を続けると、作物は実を生産するために多くのエネルギーを消費します。このため、土壌の栄養素が枯渇し、植物は次第に弱っていきます。
実のなり疲れの対策
実のなり疲れを防ぐためには、適切な肥料の施用、有機物を追加、土壌の健康管理、適切な水やり、そして収穫後の適切な輪作や休閑期間を設けることが重要です。 植物が健康に育つためには、窒素(チッソ)、リン、カリウムなどの栄養素がバランス良く必要です。これらの肥料を適切に与えることで、植物は必要な栄養を得て、元気に成長できます。 摘花・摘果により一株につける実の数を制限するという方法もあります。
実のなり疲れの具体例
トマト:何シーズンも連続して栽培すると、栄養不足により実の大きさが小さくなり、味も劣化する可能性があります。
イチゴ:年間を通じて高い収穫量を維持しようとすると、次第に実の品質が低下し、病気にかかりやすくなることがあります。
ナス:連続して多くの実をつけると、植物が疲弊し、実が小さくなったり、くすんだ色になり、収穫量が減少したりします。(ボケナス)
スイカ:何年も同じ畑で栽培すると、実のサイズが小さくなり、糖度が下がることがあります。
リンゴ:毎年多量の果実を収穫すると、徐々に木の生育力が落ち、果実の質が低下することがあります。 きゅうり:サイズの低下・形の不揃い・皮の硬化の他に、栄養不足により、キュウリの風味が落ち、水っぽく味が薄くなることがあります。
作物の「実のなり疲れ」を防ぐためには、収穫後に植物に休息期間を与え、適切な肥料を施して土壌の栄養を回復させることが必要です。
このように、作物の「実のなり疲れ」は適切な栽培管理によって予防・改善することができ、持続可能な農業の実現に貢献します。